STORY

20年の記録から生まれた三部作について

2025年は、オフィス・シロ/タウシュベツ日誌編集室を主宰する岩崎量示にとって、タウシュベツ川橋梁を撮り始めてから20年となる節目の年でした。

タウシュベツ川橋梁とは、北海道・大雪山国立公園に位置する旧国鉄士幌線の廃線跡に残るコンクリートアーチ橋です。この橋は、湖の水位によって水没と出現を繰り返しながら、季節や光によって絶えず表情を変えてきました。

その変化を見つめ続けるなかで、記録は少しずつ蓄積され、写真や映像として残されてきました。

2025年から26年にかけて制作した三部作
『絶景 タウシュベツ川橋梁』
『光影の記憶』
「千年の残響」
は、その長い蓄積をあらためて見つめ直した作品となります。

『絶景タウシュベツ川橋梁』は、カラー写真によって、この橋の魅力をもっとも直感的に伝える一冊です。

『光影の記憶』は、既発表作品を新たな視点で選び直し、モノクロームで再構成することで、光と影、質感、時間の痕跡に焦点を当てました。

『千年の残響』は、水没と出現を繰り返す橋を通年で映像として記録し、さらに石井彰による書き下ろし音楽とともに、一つの映像作品としてまとめたものです。

同じ橋を見つめながらも、カラー、モノクロ、映像では、それぞれ違うものが立ち上がります。この三部作は、20年にわたる記録を、別々の角度から手に取れる形へとまとめたものです。

北海道・大雪山国立公園に位置する旧国鉄士幌線の廃線跡に残るコンクリートアーチ橋、タウシュベツ川橋梁。

岩崎量示がこの橋を撮り始めたのは、2005年のことでした。


最初から20年にわたって撮り続けるつもりだったわけではありません。当時から「あと数年で崩れてしまうだろう」そう言われていた橋の、最後の記録を残すことが目的でした。

崩落間近とはいえ、水没と出現を繰り返し、季節や光、水位によってまったく異なる表情を見せるこの橋には、一度きりの偶然では終わらない強さがありました。

タウシュベツ川橋梁は、同じ姿をとどめることのない橋です。

湖に沈み、再び現れ、雪に閉ざされ、朝の光に浮かび上がり、また別の年には違う水位、違う傷み方、違う空気のなかに立つ。その一つ一つを見ていくうちに、撮影は単なる風景写真ではなく、時間そのものを見つめる行為へと変わっていったことに、20年を振り返ってあらためて気づきました。

長年にわたる記録の蓄積は、やがて、他では置き換えのきかないアーカイブになっていきました。

それは橋の姿の記録であると同時に、橋とともに過ぎてきた時間の記録でもあります。2025年から2026年にかけて、その蓄積をあらためて見つめ直し、三つの作品としてまとめました。


この三部作は、20年にわたり撮り続けてきた記録を、別々の方法で手に取れるかたちへと変えたものです。崩落が近いと言われ続ける橋を前に、いま残せるものを、できるだけ確かなかたちで残したい。

このショップに並ぶ記録写真集、映像作品はそうした考えから生まれたものです。